Section 8

translator' memo


Simon Atmeen

この人物の日本語表記は、サイモンかシモンのほぼ二択になりますが、彼が魔術師であることを考慮すると、シモンと表記するのが適切に思われます。

DPの物語の登場人物は、聖書の中に該当する人物が存在するように思われるものが少なくないのですが、シモンの場合も
Simon Magus(シモン・マグス)という一定の共鳴がある人物がいます。

シモン・マグスの聖書における立ち位置は、やや微妙な感じがしますが、グノーシス主義の開祖とされているという点が興味深く、名前の響きから人類のジェティック・マインドの中から象徴的なイメージを喚起させるというジェームズの手法を考慮すると、シモン・マグスに関連する情報を当たってみる価値はあります。

シモンの作中における役割は、ジェームズの姿と重なると私は感じているのですが、とんでもない長寿という設定が何故だかずっと印象に残っていました。

人類の最高長寿の記録を調べてみると、120歳ぐらいがギネスに認定されている記録のようですが、世界にはその倍以上長寿であったとされる人物の伝説が残っています。

その中で、私が一番心を惹かれたのは、中国の李青曇という人物の逸話です。

伝説によれば、彼は256歳まで生き、その彼が、なんと500歳の老人に会ったことがあると記録には書かれています。


李青曇は漢方医で、その知識と特殊な呼吸法を用いて長寿を手に入れたという点も、シモンとの食事のシーンで頻繁に植物の根を食べるというシーンや、ウイングメーカーの各種呼吸法などを想起させるものがあります。

李青曇は、長寿の秘訣を尋ねられ、こう答えたそうです。

静かな心を保つ
カメのように座る
鳩のように活き活きと歩き
犬のように眠ること

心に残る言葉ですね。